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インナーチャイルド 《第4話 吼え猛るエゴ》

インナーチャイルド 《第4話 吼え猛るエゴ》

妖精は来週末も泊まりにくると言って、また朝早く出かけていった。
何してるか聞いてみたら勉強会してるんだって。
わざわざ、遠くまで泊りがけだなんてすごい熱意だなぁ。
ちょっと、そんな風に一生懸命になれるのがうらやましい。
私の中身が癒されたら、私も何かに一生懸命になれるんだろうか?
私はまだ一生懸命になったことがない・・気がする。



がんばった事はあったけど、やってる私はどこか空虚で追いかけられて
しかたなくやらされてるかんじで、
自分のしたい事とか熱意とかそういう物じゃなかった。
愛せる自分。
したい事がある自分。
自信がある自分。
強い思いのある自分。
どれも、欲しい自分。
今はどれも持ってない。
気になる扉の向こう側を越えたらそれはあるのだろうか?

変わりたい。変わりたい。
あの扉の向こうがすごく気になる。
その日は扉が気になって、枕を抱えたままセラピーをするどころじゃなかった。
明日すればいいよね。

平日の夜、また枕を抱えるまではしたけどイメージとかするまえに、
「今日は疲れたからまた明日」とか言ってしなかった。
翌日も「一生懸命してるのにちょっとしか実感ないんだよね・・」とか、してないのに・・。
その翌日も「どーせしたって変わらないよ・・・」なんて。
定番の「今日はもぉいいや。続きは明日。」続きどころか何もしてない。
変わりたいはずなのにどうしてか、やらなくていい理由を探すことばかり考えて、
大切な変わるためアクションを手付かずになってしまってる。
頭の端では言い訳してるってわかってるのに、
知らんフリして、私悪くないもーん理由あるしってかんじ。
でも、誰が指摘しなくても私は知ってる、ウソの言い訳と知ってるのに知らんフリ。
こうしてると、気付かないフリとウソの罪悪感が付きまとう。
そういうのから必死に目をそむけて、気持ちを見ないでいるから、
訳のわからない不快さがじわじわ湧き出して胸をヒタヒタと濡らして辛くて苦しくなってる。
そんな一週間を過ごした。


週末のその日は妖精さんのおごりで買ってきてくれた、
デパ地下ごはんを家で食べながら1週間どうだったか変化を聞かれた。
正直、言えることがなくて、しどろもどろ。
出来なかった言い訳を話してみたりするけど、
心の底から本当の事でないから目なんか合わせられないし。
美味しいはずのご飯の味なんか全然わからない有様。

「もう、いいよ。」

え?
私、妖精さんに見捨てられた?
せっかく教えてくれた事全然できてなくて…。
見苦しい言い訳したりして。
大きな長い氷をがゆっくりのどの奥を通って食道から胃に落ちていくみたいな。
胸の中全体に冷たい物がはじけてサァっと広がった。
言い訳なんかしないでやっとけばよかった!
そしたら・・・・・。
「そんな顔しないで。出来なかったのはしょうがないよ。怒ってないよ。」
え?
怒ってないの?「もう、いい」って、
お母さんがよく怒って「もぉいい、お前なんか知らない」って言ってのを思い出す。
「もう、いい」って言葉はお母さんの怒った顔。

「出来なかった事情もあるだろうし。」
胸がズキっとするのは自分にウソの言い訳して、今は妖精さんにもウソを広げたせいだ。
信じてくれて、許してくれてる人に。
「責めてないよ?だからそんな顔しないで美味しいご飯味わってたべようね?」
私、どんな顔してるんだろ?
えと、でも・・・。
我慢しきれなくて涙がぼとぼとでてきた。
ごめんね、ごめんね。
出来なくてごめんね。
ウソついてごめんね。
言い訳してごめんね。
泣いちゃってごめんね。
私は誰にあやまってるのかわからないけど、心の中で謝りつづけた。      

妖精さんはやさしく背中や頭を撫でてぽんぽんしてくれた。
「無理に泣き止まなくていいからね。泣きたいだけ泣いたらいいよ。」
私がインナーチャイルドになったみたいだ。
「泣くのは笑うのと同じぐらい大切な事なんだよ。声を出せたらもっといい。」
そ、そうなの?でも、どうやったらいいかわかんなくて。
「今、無理しなくていいよ、そのうち出来るよ。」
そか~出来るようになるんだ。
もう少し、妖精さんを信じてやってみよう。

涙も落ち着いて、妖精さんが入れてくれた熱いお茶をゆっくりすする。
妖精さんは勝手知ったる身内の家状態になってきてる。
冷めたご飯をチンしなおしながら妖精さんは私に話しだした。
「なんとなくね、今回出来なかった事とか心当たりあるんだよね~。」
そうなの?
「うん、どーしてかわからないけど、なんとなーくしたくなくて出来なかったんでしょ?」
うん。
「結構しょうもない言い訳とか自分にしちゃったりして。」
うん。そう。
「ちゃんと話すね?」
うん。
「私も覚えがあるから。」
そうなんだ。ちょっと嬉しいのはいけないことかな?
妖精さんにも自分と同じ弱くてずるくて綺麗とは言えない部分があるんだ。
 
「これから「エゴ」について話すけど、世間一般にいわれる意味とかニュアンスとは
ちょっと違うからそのつもりで聞いてね?」
うん。違うものの話なのね。
「世間いっぱんではエゴって、自分の利益を中心に考えて、
他人の利益は考えない思考や利己中心的行動とかをいうでしょ?」
うん、やーなカンジのイメージあるよね。
「私が説明したいのは、人の防衛システムとして標準装備さてる物の事なの。」
そうなんだ。
「危機管理する部分といってもいいかな。たとえば崖の際を歩くと危ないなって思わない?」
そりゃあぶないよ!よろけたら落ちるかもしれないのに。
「そう、それ。」
え?
「落ちるかもしれない、なの。」
??
「落ちて怪我をしたり死んじゃうかもしれません、とか警告して
危険を回避するためにささやく機能なの。」
あー、そうなんだ。
「普通はフッと頭によぎる程度で気をつけようとか、あ危ないかも?って思うでしょ?」
うん、思う。
「でも、いっぱい傷ついた人はこの機能がものすごく肥大してて敏感になってるの。」
うんうん。
「さっきのたとえで言うと、崖の際ぎりぎり近くでやっと危ないと思う人もいれば
5m離れないと安全に思えない人もいる。ってかんじかな。」
あ、私5mな人かも。
でも私の言い訳とかしたくない気持ちとどうつながるの?
「うん、それはね。エゴは今の安全が好きなの。」
今の安全?
「今のあなたの状態をエゴは維持したいの。」
え?どうして?だって辛いし苦しいし。全然安全じゃないし。
安全どころか、安心できないから、むしろ変わりたいと思ってるし。
「それでも、今のしんどくても[慣れてる安全]を現状維持するのが、
エゴにとって一番大事なのよ。」
ええ、そんなの嫌だし。
「心が健康な人はこのエゴのささやきを軽くスルーして進むことができるの。
ささやき程度だから。
だけど、傷ついた人のエゴは肥大化して大きな力をもってるから、
大声で叫ぶの、やめろ!このままでいろ!危ないぞ!ってね。
耳元で叫ばれて無視できる人はそうはいないでしょ?」
うええええええ~。そうだね。
でも、良くなろうとしてるのに?
「エゴに状況や現状を把握する力はないの。
自分にとって良い悪いの判断もないの。目隠ししてるようなものかな。」
見えないのに叫ぶの?
「うん、そう。今の危機的状況じゃない「今」が大事なの。変化はエゴにとって「危険」なのよ。
だけどね、エゴが言うのはあくまで予測。エゴのささやきは[妄想]なの。
よい方向に導いてくれる事はないの。
だって「こんな危険な事がある[かもしれません]危ないですよー」と、
言って危機管理するのが仕事だから、言うこと全部ネガティブな悪いイメージな訳。
で、ほどほどのささやきなら問題なくそういう危険もあるね気に止めておくよ、
程度に聞いて自分の意志で自由に選択することが出来るけど、
大声になったときエゴの言うことを聞きがちになるの。
ネガティブな選択をしがちになるって事ね。」
そうだったんだ。
「愛を基本軸にして動いてないから幸せになれないの。
エゴは恐れを軸にしているからね。怖い怖いと思って小さく縮こまって進んでも楽しくないでしょ?」
うん・・・楽しくない。全然。
「でね、このエゴは心の傷に触れるようなときに、このままでいたら少なくとも
[今までと同じ慣れたしんどさですむよ]って耳元でささやいたりするの。
[本当に恐れてる物を見なくて済みますよ?]ってね。」
私の本当に恐れてるもの?
「あなただけじゃなくて大多数の人が恐れてる物かもね。」
怖いな。
「大丈夫。エゴの言うことは[妄想]でしかないから。」

「『愛されていない(かもしれない)自分・必要とされていない(かもしれない)自分』
に、私たちが気付くことをエゴはとても恐れているの。
それが真実かどうかかわまずエゴは恐れを叫ぶのよ。」

「『愛されていないという耐えがたい事実』という妄想をエゴは必死で隠してる。
止めるための警告的にチラ見せするけど全部を見せれない。
危険で隠してるもの本体だからね。
で、隠してるから本当かどうか何を隠してるか良く見えないから、
私達は余計に怖くて見れなくなるの。
ずっと見ないでいると、隠していたものが何かわからなくなって、
中身を勝手に想像してどんどん怖い妄想が広がっていくの。」

「エゴの声はネガティブな妄想。って覚えててね。」
うん。
「それで、長い話でお待ちかね。あなたの話に戻るね。
まず、心の変化を望んでたでしょ?」
うん。
「それでエゴがこのままの慣れた安全でいろ!って叫びだしたのね」
「『どうせ私なんか・・・』とか『そんな事したって・・』とか色々いったでしょう?」

うん。どうして判るの?すごく言った。
ああ、私のエゴ、すごくうるさかったんだよ。

言い訳があれば、しなくて済むさ。
探せばいくらだってあるだろ?
それに大丈夫だって、こんままでも、今までそれで大丈夫だったじゃないか。
心の傷なんて思い出すのも辛い話なのに、それを何?癒しちゃったりする訳?
無茶なこと言うなよ。お前に傷なんか治せるわけないじゃないか。
枕なんかだっこしてバカみただし。
効果あんのかよ?
夢みたいな事言ってないで、「今までと同じ」でいたほうが安全だって。
何を好き好んで、見たくない傷に向き合う必要があるさ?

こんなかんじだった。
エゴの大丈夫って全然大丈夫じゃないし。
このままいったら、私きっとつぶれちゃう。
鬱になるかもしれないっていうか、片足つっこみかけてるかもしれないし。

見ないフリとかすごくしんどいし。
「そうそう、それもエゴの十八番。わかってるのに知らないフリ。」

それでね、さっき言ってたみたいに、今のままがいかにも楽みたいに思い込もうとしてた。
今のままだとずっと苦しいのに。
バカだねー。
あ、また涙が滲んできた。
「バカなんかじゃないよ。自分をちゃんと見るって、すごく勇気がいることしてるんだよ?」

私・・バカじゃない?勇気ある?
でも、失敗しちゃったよ?エゴの声に乗って言い分け作ってへろへろしてたよ?
「今ちゃんと気が付いてるじゃない。それがすごい事なんだよ。
もう、変わり始めてるんだよ?」
ほんと?
「もしね、ここでやっぱり苦しいから止めるって言っても、私は失敗だとは思わないよ。
思いに気が付いて進めた大事な一歩だよ。」
あ、イヤ。待って、まだやりたい・・・。
「また、そんな顔して。『もし』っていったでしょ?」
だって、やっぱり、もういい、のかって思って。
「もういいって・・。叔母さんの口癖だね。私が怒ってるって思ってる?
私は怒ってないよ。先週の続き後でやろうね。」
うん!よかった、ありがと。
見捨てられるかと思った。
「クライアントなら、止めるとかいっても引き止めることは出来ないけど、
あんたは身内な分止めるっていってもそう簡単にはいかないよ?(笑)」
妖精さんが悪役のようにニヤリとするのがおかしくて、吹き出してして笑ってしまった。
あ、ちょっと怖い笑い方だよそれ。
妖精さんはわざと強い言い方をして私を安心させてくれた、ありがたいな。


「じゃー続きはご飯を食べてからね」
うん。
「しかし、あれだね~。もっかい温めなおしかねこりゃ。」
ありゃ~。ご、ごめんね?

折角のデパ地下ご飯は度重なるチンで少しへっちょりしてしまったけど、すごく美味しかった。
妖精さんは誰もくれなかった言葉をくれる。
おなかも胸もいっぱいで少し幸せな気分になった。




続く→次回 《第5話 あかない扉》


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by yurusupi | 2010-01-19 10:27 | インナーチャイルド
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